『かてもの』と『飯粮集』に書かれている救荒植物と有毒植物の一覧
書かれている植物名   現在の植物名(アンダーラインは写真にリンク)   「かてもの」や「飯粮集」に書かれた食べ方など  * 印は「飯粮集」にだけ書かれている
あいこ ミヤマイラクサ ゆびき食う,又かて物とす
あおきの葉 アオキ ヒメアオキ * 若葉を取り灰水にてゆで,又さみず(真水)にてゆで,よくよく苦みを去り用ゆ
あかざ アカザ ゆびき食う,又かて物とす
あさしらげ ハコベ ゆびきさわし食う,又かて物とす
あさづき アサツキ ゆびき食う,又かゆにまじへかて物とす
あざみ ナンブアザミ ダキバヒメアザミ サワアザミ モリアザミ ゆびき食う,又かゆにまじへかて物とす
あづきの葉 アズキの葉 干して手にてもみ,茹で上げてかて物とす
あまところ アマドコロ  * 良く茹でよくさわし用ゆ
あまな ソバナ * ゆびき熱し用ゆ
あめふりばな (ひるがほ) ヒルガオ コヒルガオ 根も葉も茎もゆびき食う,又かて物とす
いたどり ケイタドリ オノエイタドリ オオイタドリ イタドリ くきのふとくはの大なるをどうぐひと云 能ゆびき麦か米かに炊き合わせてかて物とす
いちび イチビ イタビカズラ 実をいちびまんでうと云 実をとり生にて食ふ干してひき粉にし餅団子にしても食ふ
いわたら ヤマブキショウマ * ゆで用ゆ 干してもよし
うこぎ ヒメウコギ * 葉を用ゆ也
うこきのね ヒメウコギ * 常ならざるかてにあたりたる時は,うこぎの根を生ならば五匁ほど干し物ならば三匁程水三盃入せんじ半分に煮詰めのむべし
うしひたい ミゾソバ 茎も葉もよく湯引きかて物とす
うしひる ギョウジャニンニク ツルボ 根を取り灰水にてよく茹でかて物とす
うど ウド * 根も茎もとりよく茹でさわしもちゆ
うばのち (うつぼくさ) ウツボグサ 若葉を灰水にてよく茹で,水に2宿ほど漬け置きて食う,又かて物とす
うるゐ オオバギボウシ コバギボウシ ゆびき食う,又かて物とす
うるし ウルシ * たらのめの如くもちゆ
おみなめし オミナエシ * 葉を取りよく茹でさわし用ゆ
かき カキ * 実を食ろう。かきは蟹を忌む
かたたご カタクリ 葉は干して食う,生にては腹下るなり,根を粉にしたるをかたくりと云う,製方からすうりと同じ
がつき マコモ おいはだちをゆびき食う,実は臼つきてつぶとなしかて物とす
がば ガ マ おいはだちを食う,根に近き白き所を取りはぎてゆびき食う,又むして食うもよし,又根をとり皮をはぎ去り
茹でさわし臼にて搗き米の粉にまじへ,団子にし食う,又晒ほし臼にかけ,ひきて餅にまろめても食う
かはらさいこ カワラサイコ * 川原に有る草,若葉を取りあく水ににて茹でさわしもちゆ
かはらしちこ カワラホウコ 製方はたけしちこと同じ
かはらちや カワラケツメイ あはたちとも云う。若葉をよく湯引き水にさわし食う,又かて物とす
かふれぶす トリカブト * 右形状薺荒に似て茎にかふれあり、是を食へは即死すと云
かやな コウゾリナ ゆびき食う,又かて物とす
かやのみ カヤの実(ハイイヌガヤ)  * 炒りて皮を去り,搗きて粉にしこうせんにして食うべし,又麦を粉にしまじへて食う
からすうり キカラスウリ・カラスウリ 茎も葉もやはらかなる時ゆびき食う,又かて物とす
からすうりの根 キカラスウリ・カラスウリの根 皮を去り,白きところを寸々に切り1日に1度ずつ水を換えてひたす事4,5度にして,搗きただらし,
汁を取り,水飛する事10篇あまりし,餅だんごにして食う
からすのや タウコギ ゆびき食う,又かて物とす
かわらな コオニタビラコ * おほく川原に有る草,かてによろし
かわほね コウホネ 根を取り皮を去り,さいの目に刻み,米とぎ水に二宿ばかり浸し,よく洗い又白水にて茹で
又水に一宿ひたしかて物とす
ききやう キキョウ * 用い方根葉ともに前に(ととき)に同じ
ぎしぎし ギシギシ 若葉をゆびき水にさわして食う,又かて物とす
きり キリ * 葉を用ゆ,くわのはごとくして
くこ クコ * 葉を用ゆなり
ぐじな タンポポ エゾタンポポ ウスギタンポポ たんぽぽとも云う,ゆびき食う,又かて物とす
くぞの葉 ク ズ 若葉をよくゆびきかて物とす
くはんそう ヤブカンゾウ ノカンゾウ ニッコウキスゲ 苗も花もゆびき水にさわし食う,又かて物とす,根も又粉となし米の粉か麦の粉か又はこぬかをまじへ
餅に作り食う
くわひ クワイ 秋堀取り洗ひ,2,3に切り干して囲う,寒中の水に漬け置き,春の日に干して囲うは猶よし,
用いる時は臼にて搗き粉にし雑穀の粉にあわせ団子にして食う
くり ヤマグリ * 何れも、みをくろふ
くるみ オニグルミ *  
くわ クワ * 若葉を取りよく茹でさわし用ゆ,実もよきかてなり
こうくわ ベニバナ 若葉をゆびき食う,又かて物とす
こうずの葉 コウゾの葉 若葉を干し,手にてもみ,あく水にてゆで,又素水にてよくゆびきかて物とす
こくさぎ コクサギ 灰水にてゆびき水に一宿さわして食う,又かて物とす
ごんがらび (ごからび) カガイモ イケマ 若葉をゆびき水にさわし食う,又かて物とす
ここみ コゴミ * ゆびき熟し用ゆ
さいかちの葉 サイカチの葉 若葉をとりゆびき水をかへさわして食う,又かて物とす
ささぎの葉 ササゲ インゲンマメの葉 葉も手もゆでさわして食う,又かて物とす,16ささぎもりういうささぎも同じ
さるなめしの葉 リョウブ わか葉をあく水にてゆて,素水にてゆびき能あらひ度々水をかえかて物とす
さわあざみ サワアザミ 灰水にてよくゆで水をかえさわして後食う,又かて物とす
さわくきたち ゴマナ * かてによし,ほしてもよし
しだみ コナラ 水をかへて煮事14,5度してよく蒸し,米の粉にまじへ団子にし食う,流れに2,3宿ひたせば渋味も毒も去る
しちこ ハハコグサ * ゆびき熱し用ゆ
しほて タチシオデ シオデ * ゆびき熱し用ゆ
しゃぜんそう (かいるは) オオバコ ゆびき食う,又かて物とす
すぎな スギナ よくゆびき食う,又かて物とす
すひかずら スイカズラ 若葉も花もゆびき,さわしてかて物とす
すめりひやう (すべりひゆ) スベリヒユ ゆびき食う,又かて物とす
せきしょう セキショウ * あく水にて良く茹でさわし用ゆ
ぜんまい ゼンマイ 製方用方わらびと同じ
そはから ソ バ * そばの殻を炒り焦がしはたきかうせんのごとくにして用ゆ
たびらこ オニタビラコ タネツケバナ よくゆびき水にさわして食う,又かて物とす
たら タラノキ * 葉開かざるとき,芽を取りよく茹でさわしてくろふ,みそあひにしてなを良くさし合いなし
ちがやのめ チガヤ * (がばのつの,よしのつの,ちがやのめ)あく水にて茹で水にさわし粮とす
ちさ チシャ * 葉を取りゆで用ゆ
ぢたぐり (ぢんだぐり) クヌギの実 水を換え煮る事十四五度し,よく蒸して食う。流れに一宿ひたせば一度煮てもよし
つくいも ツクネイモ * (やまいも,さといも,おなじく葉茎,つくいも,むかご)よろしき品なり
つくし ツクシ * ゆでさわし用ゆ
つたの葉 ツルアジサイ * 灰水にてうて,又さ水にてうてあげ,苦みを去り用ゆ
つゆくさ ツユクサ 若苗葉をゆびき食う,又かて物とす
ところ オニドコロ トコロ 横に切り,よくよく煮て流水に一夜ひたせば苦味よく去,又灰水にてよく煮二夜ほど水にさわしかて物とす
とうごぼう ヤマゴボウ(トウゴボウ) 根も葉もゆでて食う,又かて物とす。根に赤きあり,黄なるあり,白きあり,白きを食べし,薄くへぎ,
流れに二宿ひたし大豆の葉を甑にし,段々へだめに入れて蒸す事六時ばかりにして食う
とちの実 トチの実 水をかえ煮る事14,5度し,蒸して食う。流れに一宿ひたせば一度煮てもよし。
ととき ツリガネニンジン * 葉を取り,茹でて水にさわしかてに用ゆ。根も又ほして用ゆ
どほな イヌドウナ タマブキ 若葉をゆびき食う,又かて物とす
どろぶ ドロノキ 若葉をあく水にて茹で,水を換えゆびきさわしかて物とす
とりあし トリアシショウマ * 軟らかなるうちに取りて良く茹でさわし用ゆ
なつな ナズナ * 根葉ともに茹でて用ゆ
なるこゆり ナルコユリ ミヤマナルコユリ * 良く茹でよくさわし用ゆ
にら ニ ラ * 生ならば茹で用ゆ,又干してかこう
ぬすひとのあし オニノヤガラ  フジカンゾウ * 根を取り塩湯にて茹でよくさわし用ゆ,又むしても用ゆ
ねなしかつら ネナシカズラ * 若葉,つるともに取りよく茹でさわし用ゆ
ねむのき ネムノキ * はおゆてさわしもちゆ
のぎく ノコンギク ヨメナ 若葉を取りゆびき苦味を去りて食う,又かて物とす
のこぎりは (われもこう) ワレモコウ ナガボノシロワレモコウ スカシタゴボウ ゆびきさわし細かに刻み粘りをもみさりかて物とす,又粘りを去り干して臼にて搗き米の粉にまじへ
団子にし大豆の粉をつけて食うもよし,又みそを合わせて焼餅にしても食う
のにんじん シャク ゆびき食う,又かて物とす
ののひる ノビル 苗根を取りゆびき食う,又かて物とす
はうきぎ ホウキギ 葉をゆびき食ふ又かて物とす
はこべ ハコベ ウシハ コベ * 茹でさわし用ゆ
はしばみ ツノハシバミ 飢を助るもの
はすの葉 ハスの葉 ゆびき食ふ又かて物とす
はたけな コマツナ アブラナ * 根葉ともに茹で用ゆ,又干してよろし
はたけしちこ (ははこぐさ) ハハコグサ ホウコグサ 茎も葉も灰水にてゆて米の粉へまじへ餅団子にして食ふ
はたな (はとな?) ヨブシマソウ * ゆびき熟し用ゆ
はびやう イヌビユ ゆびき食ふ又かて物とす但亀(すっぽん,かめ)とくひあわせべからす
はらな アブラガヤ * 山にもいづる草なり,かるかやということあり,かるかやはすすきの類にしてかにかやなり,
草の形地楡,気味苦寒無毒,此の草に似たりはらなはこのわれもこうなるべし,二品ともに無差合
ふき フ キ 葉も茎もゆびき食う,かて物とせは灰水にてゆで,流れに一夜浸すべし,ふきのとうもかて物とすべし
ふじの葉 フジの葉 若葉をあく水にて煮,水を換え2,3夜さわして後食う,又かて物とす
ぶとうのは ブドウ * 葉を取りよく茹でさわし細かにきざみ用ゆ
ぶな ブナ
* 右嫩葉をとり灰水てうて細かに刻み、又さ水にてうてあけ用ゆ
へびあさ ハンゴンソウ ゆびき食ふ又かて物とす
ほど ホドイモ 根を能々煮て塩をくわへ食ふ
またたびの葉 マタタビ ミヤママタタビ ゆびき食ふ又かて物とす
まめのは マメ ダイズ 蒸して臼にてよく搗き小麦を合わせ団子にして食う,葉はほして手にてもみゆであげてかて物とす
まゆみの葉 カントウマユミ マユミ コマユミ ゆびき食う,又かて物とす
みちしは チカラシバ * みちのかたわらにある草,ちからしばと云う,実をとりめしにかしき用ゆ
みつな ウワバミソウ トキホコリ * 沢に有草。あみつ、あをみつとて、二つあり。かてに用ゆ。木(?本)草の水菜のことなるべし。
みつはせり ミツバ 葉も根もゆびき食う,又かて物とす
むかこ
* (やまいも,さといも,おなじく葉茎,つくいも,むかご)よろしき品なり
むくげ ムクゲ * 春,若葉を取りあく水にて茹でさわしきざみ用ゆ
めどはき メドハギ
嫩葉を取ゆびき熟し苦みを去り用ゆ
めなもみ (なもみ) メナモミ 若葉を白水にひたし一昼夜してよくゆびき食う,又かて物とす
やちふき サワオグルマ ゆびき食う,又かて物とす
やまうつぎの葉 (がざは,づくなし) ウツギ タニウツギ 若葉をゆびきかて物とす
やまごぼう オヤマボクチ 根も葉も食う,葉はゆびき一宿水にひたし2,3度水を換えかて物とす,又米の粉にまじへ団子にしても食う
やまいも ヤマイモ 荒野藪地なと掘返して蒔きおけば,年々ふとりて飢えを助け,又常に掘出して売りたるも利あり
ゆり ヤマユリ ヒメサユリ オニユリ コオニユリ
オオウバユリ クルマユリ
ゆりの名あるものは何ゆりにても食う,又かて物とす
秋堀取り洗ひ,ゆでて干し寒中の水に漬け置き春にいたりて又干し臼にてつき粉にして囲う
よしびこ(あしつの) アシ(ヨシ) おいはだち肉厚くしてやはらかなり,ゆびき食う又かて物とす
よもぎの葉 ヨモギ ヤマヨモギ 灰水にてゆびきかて物とす
よめな カントウヨメナ(ヨメナ) ユウガギク * 葉も根もよく茹でて用ゆ
わらび ワラビ 細かにきざみ灰水にてよく煮て水をかえ,2・3宿さわし,ぬめりを去りてかてものとなす
かて物にする程に細かに切り干して囲う
ゑごな ヒメザゼンソウ よくゆびき煮て食う
ゑんじゅの葉 イヌエンジュ 若葉を食う,製法用法のこぎり葉と同じ
を々づちは オトコヘシ 若葉をゆびき水に2,3べんさわして食う,又かて物とす
をけら オケラ 若葉をゆびき食う,又かて物とす,根は黒皮を去り,うすく切り2,3宿水にひたし苦味を去り,よく煮て食う
谷こさす ハシリドコロ * 右形状水ふきに似たり、是を食へは即死すと云
大薊の根 オニアザミ * 大毒ありと云(?)